11月例会「第51回全国大会報告会」開催報告

 11月3日、大阪市大阪市立総合生涯学習センターで11月例会「第51回全国大会報告会」を開催しました。

 

 大学図書館問題研究会(大図研)では毎年1回、全国大会が開かれます。今年2020年は新型コロナウィルス感染症の影響を受けて、初めてオンラインミーティング形式で10月10日・11日の2日間にわたって開催されました。

 

 全国大会では2日目の午前・午後にそれぞれ4つずつ計8つの分科会が開かれました。分科会は参加者が関心のある主題の分科会を選択して、比較的少人数で参加者同士が活発に議論を行うことのできる場です。残念ながら同一時間帯に開催される他の分科会には参加することができませんので、今回の報告会では各自が参加できなかった分科会での議論の内容をお互いに共有することを目的に、全国大会に参加した大阪地域グループの会員から、以下の分科会についての報告が行われました。

 

第1分科会「大学図書館史」

第2分科会「利用者支援」

第4分科会「キャリア形成」

第6分科会「図書館経営

第7分科会「図書館建築・デザイン」

 

 担当者からの報告に加えて、随時質疑応答や意見交換を行いました。他の地域グループにご所属の方、非会員で全国大会に参加された方も含め、今回の例会の参加者は6名でした。

 

 全国大会の分科会のうち、「利用者支援」と「図書館経営」の2つの分科会は大学図書館への感染症の影響を直接主題として取り上げました。「利用者支援」分科会では感染症下で図書館が行う利用者支援サービスについて、「図書館経営」分科会では在宅勤務・リモートワークの実施などの感染症下での働き方を巡って、参加者同士がそれぞれの事例を共有しながら、今後取り組んでみたいアイディアなどを話し合ったとのことでした。

 

 以下、各分科会で取り上げられた話題や論点の一部を紹介します。

 

 〇「大学図書館史」分科会

大学図書館問題研究会の歴史

特に1990年代から2010年代までの約30年間の動き

 

・全国大会の分科会で取り上げられる主題の変遷

 インターネット・電子資料の登場など、様々な変化

 

 〇「利用者支援」分科会

感染症下での困難に関する事例共有

ガイダンスやレファレンスサービスの中止、出勤制限、学生のニーズをつかむ難しさ

 

・オンラインでの情報提供の事例

 東京学芸大学の「学芸大デジタル書架ギャラリー」 http://library.u-gakugei.ac.jp/mol/shoka/index.html 

 

・今後実施してみたいサービス

 ILLの無料化、電子資料の整備、資料のデジタル化推進、感染症下での空間の提供、学生のオンライン授業課題への支援

 

〇「キャリア形成」分科会

・各自の異動経験の共有

 大学図書館→研究支援系の部署、一般職員→大学図書館など

 

・出向・人事交流、図書館以外の部署での経験

 他分野の部署での経験の意義、図書館と各部署との連携強化、人員減に伴う出向・人事交流実施の難しさ

 

 〇「図書館経営」分科会

・在宅勤務・リモートワークを巡る事例の共有

Slackの活用、NDLのオンライン研修受講、管理職として職員に関する情報把握・在宅者の仕事作り、オンラインのレファレンス受付、TAによるリモート勤務での学習相談

 

・今後への「提案」

 非来館型のサービス(教員などへの広報)、電子レファレンス(リアルタイムの同時共有)、在宅勤務時のシステム環境充実、他図書館との協力

 

〇「図書館建築・デザイン」分科会

・見学会に代わり、改修・新築の最新事例のオンラインでの事例報告

 

東京藝術大学附属図書館上野本館

 既存建物の改修+複合施設新築 芸術系学部 デザイン面での工夫

 

京都大学桂図書館

 新築 工学部・工学研究科 研究支援スペース 資料へのICタグの付与

 

 オンラインミーティングではなかなか難しい、事後に参加者同士でお互いの感想を述べ合うことを通じて、全国大会での大学図書館を巡る様々な問題についての議論を改めて振り返る機会となりました。