4月例会「オンライン授業と著作権」開催報告

2021年4月24日に例会「オンライン授業と著作権」をオンライン形式で開催しました。

教育機関での授業(とその過程)のための著作物の利用は、2018年5月の著作権法改正、改正著作権法第35条による2020年4月からの「授業目的公衆送信補償金制度」スタートを受けて大きく幅が広がりました。また、授業目的公衆送信補償金制度の補償金は、初年度は新型コロナウイルス感染拡大にともなう特別措置として無償となりましたが、2021年4月からは認定された補償金額(大学は学生一人あたり720円)のもとでの本格運用が始まっています。

 そこで、今回の例会は、コロナ禍により多くの大学で授業形式がオンラインを主軸とすることが余儀なくされている中、授業のための資料利用として認められる範囲について理解を深めるとともに、大学教員の方にオンライン授業の実施経験をお聞きしながら、図書館ができるサポートについて考える機会とすることを目的としました。

当日は、和知剛氏(郡山女子大学)と川﨑千加氏(大阪女学院大学大阪女学院短期大学)のお二人からレクチャーとご発表をいただいた後、質疑応答や情報交換を行いました。

この記事では、「授業目的公衆送信補償金制度」は「補償金制度」、「改正著作権法第35条運用指針(令和3(2021)年度版)」は「運用指針」と略します。また、「授業」は「授業の過程」も含意します。

○和知剛氏(郡山女子大学)「平成30年著作権法改正第35条の運用について」

著作権法のおさらい、補償金制度の概要説明、運用指針の解説をしていただきました。「何ができるようになったのか」というだけでなく「何でもできるようになったわけではない」という視点をもって、教員などから特に問い合わせがありそうなことについての可否にもポイントを置いてお話しいただきました。

 紹介していただいた主な資料:

  • 文化庁「授業の過程における利用行為と授業目的公衆送信補償金制度(著作権法第35条))の取扱いについて」 https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/pdf/92746401_01.pdf
    • 表中、「補償金の要否」が「補償金(35条2項)となっていることが、平成30年の法改正により可能となった。
  • 一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会 (略称:SARTRAS(サートラス))https://sartras.or.jp/
  • 改正著作権法第35条運用指針 https://sartras.or.jp/wp-content/uploads/unyoshishin_20201221.pdf
    • 2020年12月公開
    • 「著作物の教育利用に関する関係者フォーラム」によるまとめ
    • 定期的に見直される予定なので、常に最新のものを参照のこと
    • 「④授業」(p.7)、「⑦必要と認められる限度」(p.8)、「⑨著作権者の利益を不当に害することとなる場合」(p.9)などについて、具体的な例示を添えて解説されている
    • 高等教育における運用について、具体的なことはp.14以降を参照。
○川﨑千加氏(大阪女学院大学大阪女学院短期大学)「オンライン授業の経験:大阪女学院における図書館との協働を中心に」

2020年度に2つの大学でオンライン授業を担当されたご経験をお話しいただきました。中でも、大阪女学院大学大阪女学院短期大学における初年次必修の情報リテラシー科目「情報の理解と活用」・「研究調査法」と、その学修支援のために大阪女学院大学図書館の司書と協働して実施された「デジタルレファレンスオンライン」の事例について、詳しくご報告がありました。

半期を通して各自選んだテーマのもとに資料・情報を収集・整理して小論文を仕上げる、という授業のために、資料の郵送貸出や図書館の部分開館に加え、この科目に特化した個別学修支援をデジタル技術を活かして開始、従来の対面支援も並行して行われた、という興味深い内容でした。

本事例の詳細は、『大阪女学院大学紀要』で報告されています*1ので、関心のある方はぜひお読みください。

コロナ禍により学生の図書館利用がままならない状況となる中、遠隔レファレンスを始めた大学図書館は多いと想像されますが、より一歩踏み込んだ実践例を伺うことができました。図書館司書4名が2人一組になって実施され、業務的な負荷は大きかったとのことですが、開学時から継続して開講されている科目であるということに加え、従来から図書館司書がこの科目の学修支援に深く関わっていたことで担当教員との協働体制・信頼関係が構築されていたことなどが土台となって成立したことがよくわかるお話でした。 

○質疑応答、情報交換

活発に質問や情報が寄せられました。このブログでは、一部をご紹介します。

  • 補償金制度の利用申請は大学単位で行う。申請範囲は、授業単位のケースもある。
  • 補償金の支払いに必要な経費について、2021年度は国の予算から、国立大学では運営費交付金、私立大学では私学助成金による措置が受けられる*2
  • 大学によっては、補償金制度への申請状況が担当部署から図書館に共有されていない可能性もある。
  • 授業目的での映像資料(著作権法では「映画の著作物」)の公衆送信は可能だが、授業のために必要と認められる限度を超えないよう、必要最小限の一部分にとどめる点に特に注意が必要(例えば授業時間のほとんどを映画の上映に充てる、などは論外)。
  • 著作権制度について、教員向けの説明動画を作成してオンライン配信している大学もある。
  • オンライン授業における課題の出し方や指導の仕方の変化としては、図書館へ行かないとできない課題をやめたこと、メールやZoom面談による個別のフォローを実施したことが挙げられる。また、指導していて、学生の学習習慣の差が強く感じられた。
 ○まとめ

参加者からの質問などからは、資料を整備・提供する立場にある図書館員には、オンライン授業で資料を利用できる範囲について教員などから問い合わせが寄せられることが多い様子が窺われました。

その対応として、改正著作権法第35条と補償金制度をよく理解しておくこと、図書館が所属機関の申請範囲について確認しておくことが必要だと再認識できました。特に、著作権者の利益を不当に害することの無いよう慎重な運用が求められている点には留意が必要です。

また、形式が対面であれオンラインであれ、授業に対する図書館員の関わりとして、資料提供や資料の探索支援にとどまらない学修支援の可能性について示唆を受けることのできる例会でした。

和知先生、川﨑先生、参加いただいた皆様、ありがとうございました。

○関連リンク(再掲含む)

*1:小松泰信・川﨑千加・高橋りさ・森上豊子 (2021)「情報リテラシー教育におけるエンベディッドライブラリアン:「デジタルレファレンスオンライン」による学修支援の試み」『大阪女学院大学紀要』(17), 55-72. https://ci.nii.ac.jp/naid/120007008984

*2:公立大学については、地方財政措置(地方交付税措置)がされています。総務省報道資料(2021年1月22日)「令和3年度の地方財政の見通し・予算編成上の留意事項等」https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zaisei02_02000278.html

11月例会「第51回全国大会報告会」開催報告

 11月3日、大阪市大阪市立総合生涯学習センターで11月例会「第51回全国大会報告会」を開催しました。

 

 大学図書館問題研究会(大図研)では毎年1回、全国大会が開かれます。今年2020年は新型コロナウィルス感染症の影響を受けて、初めてオンラインミーティング形式で10月10日・11日の2日間にわたって開催されました。

 

 全国大会では2日目の午前・午後にそれぞれ4つずつ計8つの分科会が開かれました。分科会は参加者が関心のある主題の分科会を選択して、比較的少人数で参加者同士が活発に議論を行うことのできる場です。残念ながら同一時間帯に開催される他の分科会には参加することができませんので、今回の報告会では各自が参加できなかった分科会での議論の内容をお互いに共有することを目的に、全国大会に参加した大阪地域グループの会員から、以下の分科会についての報告が行われました。

 

第1分科会「大学図書館史」

第2分科会「利用者支援」

第4分科会「キャリア形成」

第6分科会「図書館経営

第7分科会「図書館建築・デザイン」

 

 担当者からの報告に加えて、随時質疑応答や意見交換を行いました。他の地域グループにご所属の方、非会員で全国大会に参加された方も含め、今回の例会の参加者は6名でした。

 

 全国大会の分科会のうち、「利用者支援」と「図書館経営」の2つの分科会は大学図書館への感染症の影響を直接主題として取り上げました。「利用者支援」分科会では感染症下で図書館が行う利用者支援サービスについて、「図書館経営」分科会では在宅勤務・リモートワークの実施などの感染症下での働き方を巡って、参加者同士がそれぞれの事例を共有しながら、今後取り組んでみたいアイディアなどを話し合ったとのことでした。

 

 以下、各分科会で取り上げられた話題や論点の一部を紹介します。

 

 〇「大学図書館史」分科会

大学図書館問題研究会の歴史

特に1990年代から2010年代までの約30年間の動き

 

・全国大会の分科会で取り上げられる主題の変遷

 インターネット・電子資料の登場など、様々な変化

 

 〇「利用者支援」分科会

感染症下での困難に関する事例共有

ガイダンスやレファレンスサービスの中止、出勤制限、学生のニーズをつかむ難しさ

 

・オンラインでの情報提供の事例

 東京学芸大学の「学芸大デジタル書架ギャラリー」 http://library.u-gakugei.ac.jp/mol/shoka/index.html 

 

・今後実施してみたいサービス

 ILLの無料化、電子資料の整備、資料のデジタル化推進、感染症下での空間の提供、学生のオンライン授業課題への支援

 

〇「キャリア形成」分科会

・各自の異動経験の共有

 大学図書館→研究支援系の部署、一般職員→大学図書館など

 

・出向・人事交流、図書館以外の部署での経験

 他分野の部署での経験の意義、図書館と各部署との連携強化、人員減に伴う出向・人事交流実施の難しさ

 

 〇「図書館経営」分科会

・在宅勤務・リモートワークを巡る事例の共有

Slackの活用、NDLのオンライン研修受講、管理職として職員に関する情報把握・在宅者の仕事作り、オンラインのレファレンス受付、TAによるリモート勤務での学習相談

 

・今後への「提案」

 非来館型のサービス(教員などへの広報)、電子レファレンス(リアルタイムの同時共有)、在宅勤務時のシステム環境充実、他図書館との協力

 

〇「図書館建築・デザイン」分科会

・見学会に代わり、改修・新築の最新事例のオンラインでの事例報告

 

東京藝術大学附属図書館上野本館

 既存建物の改修+複合施設新築 芸術系学部 デザイン面での工夫

 

京都大学桂図書館

 新築 工学部・工学研究科 研究支援スペース 資料へのICタグの付与

 

 オンラインミーティングではなかなか難しい、事後に参加者同士でお互いの感想を述べ合うことを通じて、全国大会での大学図書館を巡る様々な問題についての議論を改めて振り返る機会となりました。

8月例会「大学図書館などでの新型コロナ対応情報交換会②電子ブックを中心に(オンラインミーティング)」開催報告

8月29日に8月例会として、コロナ禍における大学図書館の対応についての情報交換会をオンラインで開催しました。

5月例会に続く第2弾となった今回のテーマは、電子ブックの利活用です。

 

新型コロナウイルス感染症対策として、多くの大学でキャンパスへの立ち入り制限が行われる中、遠隔で図書館資料を提供するための方法として、郵送貸出・複写物送付サービスと並んで、電子ブックの購入・提供があります。

 

当日は、日本各地から国公私立・館種の異なる14人の方にご参加いただき、電子ブックの提供状況、コロナ禍における需要の変化と対応、課題と感じていることなどについて話し合いました。

 

当日話題になったトピックをご紹介します。

 

○提供できない(図書館向けに販売がない)電子ブックについて

・コロナ禍の中、来館せずに使える電子ブックへのニーズが高まる一方、電子ブックは個人向けと図書館向けとで販売されるラインナップや価格設定が異なり、図書館が購入したいと希望する資料が電子ブックでは手に入らなかったり、予算の都合であきらめざるを得なかったりするケースがしばしばある。

・ある大学では、教員向けに遠隔授業で必要な電子ブックの希望調査を行ったところ、希望のあったタイトルのうち図書館向けの販売があったのは50%ほどにとどまった。

・その一方で、所属教員である著者を通じて出版社へ要望した結果、1か月ほどで図書館向けへの販売に至った事例が紹介された。

・図書館向けに販売され、同じプラットフォーム提供されている電子ブックでも、タイトルや出版社によって印刷・ダウンロードできないものが混在していて、利用者への案内がしづらいことが課題との指摘もあった。

 

OPACで電子ブックを検索できるようにする方法について

・電子ブックを購入すると、購入した資料のMARCデータを無償で提供してもらえることが多くあり(「出版社MARC」)、自館のOPACにデータを取り込んで活用している大学図書館が多くある。

・図書館側の業務コストが軽減されるため、出版社MARCは非常にありがたい存在だが、一方で、分類情報やヨミが無いものがあるなど、図書館がこれまで作成している書誌データのレベルに達していないものもあるのが課題。

・出版社MARCを自館のOPACに取り込む前に修正を加えているかどうかという点など、取り込み方について質問があった。出版社MARCの修正を行っているかどうかについては、品質向上の意味で修正を加えているのは1館にとどまり、後は取り込み時にシステムでチェックした結果のエラーにのみ対応している館があった。OPACへのデータ取り込みについては、出版社MARCではなくリンクリゾルバのナレッジベースデータをOPACに取り込んでいる例、両方を取り込んでいるが例が紹介された。

・電子ブックを所蔵データとして管理する方法、電子ブックの経理処理(資産とするか費用処理するか)にも話題が及んだ。

 

○学外からの電子ブックの利用方法について

・コロナ禍で自宅などから電子ブックを利用する学生・教職員が増える中、学外から電子ブック・その他電子リソースにアクセスする方法をどれだけ知って理解してもらえているか、ということが指摘された。

・Webサイトなどでの広報を強化している図書館も多くある一方、案内を見ながら自力で接続するのが難しい利用者が少なからずいること、電話やメールなどでの個別サポートが欠かせない状況が多くの館で共通していた。

・学外から電子ブックにアクセスするための技術やサービスとして、VPN接続、学認、リモートアクセスツール(EZproxy、RemoteXsなど)、その他のプラグインシステムについて、何を採用しているか、その使い勝手について感想を交換し合った。リモートアクセスツールの便利さが紹介される一方、価格が高く、大学によっては予算の面で導入が難しいとの意見もあった。

 

○電子ブックの購入選定について

・冊子体と電子体とで、どちらを優先的に購入するか、組織としての方針をはっきりと定めている事例は参加者の所属館の中では無かった。

・大まかな方針として、参考図書は電子ブックを優先している館、シラバス掲載図書は電子ブックで購入することにしている館があった。

・通年では購入せず、年度末の予算に残額があった場合に購入している、という館もあった。

・冊子体と電子ブックとの重複所蔵については、不問としている館が多かった。

 

○コロナ禍における電子ブック利用数の伸び率について

・コロナ禍において多く電子リソース提供元において同時接続数・学外利用制限の大幅に緩和や多数のタイトルの無償提供が行われたため、平常時との単純比較はできない。

・ただし、その前提に立ったとしても、利用率は大きく伸びている。(電子リソース全体で3倍に増えた館、自宅で使える電子リソースのページを新設したところ4000アクセスに上った館の例あり。)

 

図書館により予算規模や選書体制、導入している業務システム・リンクリゾルバ・学外からの認証システムなどがさまざまなため、課題解決に直接つなげることは難しい面もありましたが、お互いに情報を得て、ヒントを持ち帰ることができる場となりました。

5月例会「大学図書館などでの新型コロナ対応情報交換会(オンラインミーティング)」開催報告

 2020年5月10日に、新型コロナウィルス感染症対応に関する情報交換を主題とした例会を開催しました。今回の例会は大阪地域グループの例会としては初めて、オンラインミーティング形式によって行いました。

 

 新型コロナウィルス感染症の感染拡大に伴い、大阪府内の多くの大学図書館でも臨時休館や職員の在宅勤務といった対応が行われました。普段ならば近隣の大学図書館に電話などで照会することのできる業務上の様々な疑問についても、感染症対策の為多くの大学図書館の職員が在宅勤務を行っていることから問い合わせを行うこと自体がままならない状況となりました。そこで感染症対応などの各大学の状況についてお互いに気軽に質問し、大学図書館感染症対応に関する情報をお互いに共有できる機会を設けたい、というねらいから今回の例会は開催されました。

 

 当日は大阪地域グループ会員の皆さんに加え、他の地域グループにご所属の各地域の大図研会員の皆さんもご参加下さり、主に以下の話題について話し合いました。

 

トピックその1 交代制勤務など、職員の勤務体制

トピックその2 郵送貸出サービス

トピックその3 返却図書、配架図書の消毒について

トピックその4 開館している場合の利用制限の範囲

トピックその5 ILL・オリエンテーションの対応について、各館の状況

 

 5月初旬から部分的に図書館サービスを再開する大学図書館が増加する傾向にあったこともあり、再開に当たって課題となる点を中心に参加者の皆さんからの質問や疑問点の提示、自大学の状況の報告や参考となる事例の紹介などが活発に行われました。

 

〇トピックその1 交代制勤務など、職員の勤務体制

 在宅勤務や職員が交互に出勤する交代制勤務を行っている大学が多いこと、感染拡大状況の違いから地域によって対応の状況にも違いがあること、対面での会議や打ち合わせが難しいことからウェブ会議システムを用いて連絡を行っていることなどが話題となりました。

 

〇トピックその2 郵送貸出サービス

 大学のキャンパスへの学生の通学自体が制限されていることから、大学図書館の蔵書を学生に提供する手段として、郵送貸出をどのように実施するかという点を巡って話し合いました。経費負担や補償などの論点も踏まえて具体的にどのような郵送方法を選択するか、郵送貸出に対応する職員側の体制にも限りがある中でサービス対象の範囲をどのように定めるかといった点などが話題となりました。

 

〇トピックその3 返却図書、配架図書の消毒について

 部分的な開館や臨時的な貸出を行う際、感染症対策の面から図書をどのように取り扱うか、という点を巡って情報を交換しました。大学図書館では公共図書館などと比較してビニールのブッカーを表紙に付けていない場合が多いこともあり、一定期間返却図書を別置することなどについて話し合いました。また図書の取り扱い以外の全体的な感染防止対策にも話題が及び、検索用PCの消毒やカウンターでの飛沫防止用のビニールなどの設置、利用者に手洗いを推奨する広報の実施などを巡って意見を交わしました。

 

 

〇トピックその4 開館している場合の利用制限の範囲

 部分的な開館を行う際に、どのように図書館内での密集や長時間の滞在を避け、安全な空間を維持するかという観点から、事前申し込み制を取る方法や長時間の滞在を制限し資料利用のみとする方法などが話題となりました。

 

〇トピックその5 ILL・オリエンテーションの対応について、各館の状況

 全国的なILLの受付停止の状況や、郵送貸出と同じく学内者向けに臨時に複写物の郵送を実施している事例、例年対面方式で実施しているガイダンスやオリエンテーションについてはその内容を収録した動画を作成・公開している事例などが紹介されました。また電子ジャーナル・データベースなどの学外利用や、授業目的での公衆送信に関する補償を巡る著作権法改正への対応などについても情報交換を行いました。

 

 

 大学図書館で働いていると、どうしても自分自身で担当している業務とそれ以外の業務についての目配りには差が出てしまうものですが、在宅勤務によってその傾向は一層強まってしまい、担当業務に埋没してしまっているような感覚がありました。今回の例会では様々な話題を通じて、図書や雑誌、ILLや閲覧といった担当業務の枠を超えて、大学図書館が新型コロナウィルス感染症によってどのような課題に直面しているのかを改めて実感する機会となったように思います。

 また例会では、課題を共有する中で感染症対応の枠を超えた、今後の大学図書館のサービスを巡る議論にも接することができました。例えばカウンターでの対面サービスが難しい中でレファレンス・サービスをどのように学生に実施していくか、という話題は電子化が進行する中で大学図書館がどのようなサービスを行っていくか、というとても大きな問題を取り上げており、目の前の課題に追われる時期だからこそとても面白く感じられました。

 

 今回は初めてのオンラインでの例会実施ということで、参加者の皆さんには運営の不手際でご迷惑をお掛けする場面もありましたが、今後も大阪地域グループではオンラインの利点を活かした行事についても企画・実施していきたいと考えていますので、またのご参加をお待ち致しております。

 

 また大阪地域グループでは会員限定参加のメーリングリストを設置しています。地域グループ会員はいつでも他の地域グループ会員に向けて質問などの投稿を行うことができますので、ご関心をお持ちの方は是非この機会に入会をご検討下さい。

 

 今後の例会企画へのご要望や、入会に関するご質問などは随時大阪地域グループ委員会(メールアドレス dtk-obc◆googlegroups.com 送信時は◆を@に変換して下さい)までお寄せ下さい。

 

 

『大学の図書館』3月号 特集「NACSIS-CAT/ILLのこれまでとこれから」

 大学図書館問題研究会の会報『大学の図書館』3月号(第39巻第3号、No.556)に、大阪地域グループが編集を担当した特集「NACSIS-CAT/ILLのこれまでとこれから」が掲載されました。特集記事は以下の4本です。

加藤晃一「端っこから見たNACSIS-CAT/ILLの黎明期」
大石博昭「NACSIS-CATの想い出のことども」
柿原友紀「九州地域グループ『CAT2020勉強会』開催報告」
土出郁子「Beyond NACSIS-CAT/ILL」

 昨年11月のCAT2020勉強会に続きCAT2020について取り上げるとともに、NACSIS-CAT/ILLの初期の歴史も振り返る特集となっています。CAT2020を巡る議論のご参考となれば幸いです。

11月例会②「CAT2020勉強会」+「忘年会」開催報告

 11月23日に、11月2回目の例会として「CAT2020勉強会」を行い、その後少し早めの大阪地域グループ忘年会を開催しました。

 今回の例会では、日本の大学図書館での目録業務やILL業務で大きな役割を果たしてきたNACSIS-CAT/ILLの再編を主題として取り上げました。今回は講師を招いて報告・講演を行う形式ではなく、9月に実施された「CAT2020説明会」の講演動画(https://youtu.be/3rfaIjBGF5g )が国立情報学研究所より公開されていることから、講演動画の一部を視聴しつつ参加者間で来年2020年からの変更点などについて意見交換を行いました。
 まず一連のNACSIS-CAT/ILL再編の目的・背景について講演動画で確認を行い、各図書館での目録業務を取り巻く現状などについて情報交換を行いました。
 NACSIS-CATの書誌作成単位の変更については、複数巻次の図書資料の場合に書誌について従来の「VOL」でまとめられた書誌と今後許容される物理的な図書1冊単位での書誌とが並立して混在することから、「VOL」でまとめられた書誌を巻次ごとに修正する、いわゆる「VOLばらし」の対応などについて議論が行われました。
 また複数書誌の並立を想定して今回新設されるRELATION機能についても、NACSIS-ILLでのILL依頼の際に注意が必要な点や、図書館システム上でRELATION機能についてどのような操作が可能かといった点について検討しました。
 目録業務に限らず、ILLやレファレンス、図書館システムといった様々な業務を経験している方々が集ったことで、日頃の担当業務を超えた横断的な議論となったように思います。
 例会終了後の忘年会では、研究業績を把握するデータベースや書庫の狭隘化を巡る課題など、大学図書館に関する様々な話題について話し合いました。

 

 今回の例会には大阪地域グループの会員に加えて、京都地域グループ、兵庫地域グループといった大図研の他の地域グループにご所属の会員の方、SNSでCAT2020について検索していてこの例会のことを知ったという非会員の方などにもご参加頂きました。動画を視聴しつつの勉強会は初めての試みでしたが、意見交換の際に多様な経歴の皆様から積極的にご参加頂いたことで、当初想定した時間を超過する充実した例会を行うことが出来ました。
 今年も可能な範囲で大学図書館問題研究会の会員に限らず大学図書館に関心をお持ちの方に広くご参加頂けるような例会企画を行っていきたいと思いますので、今後とも大阪地域グループをどうぞ宜しくお願い致します。

11月例会「追手門学院大学新図書館見学会」開催報告

 11月2日に、11月例会として追手門学院大学の新図書館<アラムナイ・ライブラリー>の見学会を開催しました。

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 今回の見学会では大阪府茨木市追手門学院大学茨木総持寺キャンパスを訪れ、職員の皆様にご案内頂きながら新図書館の所在するアカデミックアーク内を見学しました。
 アカデミックアーク自体が三角形の建築であることや図書館が1階ホールの天井から吊り下げられたようなドーム部分に所在すること、図書館の外の廊下にも図書が配置され図書館と教室部分との一体化が図られていることなどを実地に観ることができました。
 また職員の皆様からは新図書館の概要やサービス内容について、参加者からの質問への回答も交えつつご説明頂きました。例えば追手門学院大学図書館では追手門学院大学中学校・高等学校の生徒も対象とした電子書籍のサービスを提供しているとのことで、大学図書館学校図書館との連携という課題についても考えさせられるような内容でした。
 また見学会終了後には、第2部として同日同キャンパスにて開催された新キャンパス開設記念セミナー「ICTを活用した学校教育・社会教育の新たな取り組み―電子図書館の可能性」、第3部として大図研大阪地域グループや他の団体からの見学者の皆様との合同での懇親会にも参加させて頂きました。
 今回の見学会につきまして、事前の調整や当日の口頭説明など何かとご尽力下さった追手門学院大学の湯浅俊彦図書館・情報メディア部長、学園祭当日というお忙しいところ、長時間にわたりご対応頂いた追手門学院大学の皆様にこの場を借りて改めてお礼申し上げます。