11月例会「第53回全国大会報告会」開催報告

2022年11月12日、大阪地域グループ11月例会「第53回全国大会報告会」をオンラインミーティング方式で開催しました。

 

 2022年9月17日~9月19日に開催された、大学図書館研究会第53回全国大会(https://www.daitoken.com/research/annual_conference/2022/index.html )での議論の内容を振り返りました。全国大会では課題別に8つの分科会(https://www.daitoken.com/research/annual_conference/2022/section.html )が開催されましたが、この内大阪地域グループの会員が参加した分科会について報告を行うと共に、全国大会に参加した例会参加者からも随時全国大会の様子について活発な発言がありました。他の地域グループにご所属の大図研会員の方などのご参加もあり、例会の参加者は8名でした。

 

 第1分科会「大学図書館史」では大学図書館問題研究会の歴史を辿る連続企画として、2000年代の大図研の動きについての報告と、電子ジャーナルや機関リポジトリの普及など2000年代の大学図書館を巡っての議論が行われたとのことでした。今回の例会でも2000年代に関連して、外国雑誌センター館制度や情報リテラシー教育の取り組みなどについて話し合いました。現在では当たり前のように存在していて日頃は余り意識していない話題について話し合う、大学図書館史らしい議論が報告会でも続いていた点が印象的でした。

 

第3分科会「資料保存」では紙媒体の資料の電子資料への置き換えが取り上げられ、置き換え対象とする資料の範囲や選定の基準などが話し合われたとのことでした。今回の例会でも参加者の所属する各大学での除籍などの状況が話し合われましたが、大学によって研究用に資料の保存に重点を置いている場合や教育用に資料の入れ替えを重視している場合など差異が大きく、置き換える範囲についても電子ジャーナルの有償アーカイブを活用するか、機関リポジトリJ-STAGEなどの無料公開分を重視するかなど、大学ごとの違いを改めて意識する機会となりました。

 

 第4分科会「キャリア形成」では会報『大学の図書館』2022年7月号の特集との連動企画として、「管理職としてのキャリア」が主題として取り上げられました。管理職として働いている発表者からの事例報告に基づき、管理職として求められる役割などについて議論が行われたとのことです。例会参加者からは、管理職論との関連から、図書館員などの大学職員が非常勤講師も含めた教員とどのように関係を深め連携を深めていくかという点についての質問や話し合いが行われました。

 

 第7分科会「図書館建築・デザイン」では「アクティブラーニングスペースの現状とこれからを考える」を主題とする報告が行われました。新型コロナウィルス感染症の影響の中でラーニングコモンズなどの学習空間について模索が続く中で、今後の活用を巡って議論が行われたとのことです。今回の例会でも、学生が大学図書館を利用して学習する際にどのような点を好ましいと感じているかという点など、学生が抱いている学習空間への意識が話題となりました。

 

 第8分科会「出版・流通」では「学術情報流通の現状の改善に向けた大学図書館の対応を考える」を主題に、オープンアクセス化を踏まえた電子ジャーナルの転換契約や研究データ管理を巡っての意見交換などが行われたとのことでした。

 

 今回の全国大会報告会では、報告者以外の例会参加者の皆様からも活発なご質問や関連する話題に関する情報提供の発言を頂戴することができ、当初想定していた時間を超過し様々な論点を話し合うことができました。全国大会では午前・午後それぞれ1つずつの分科会を選択する形となっており、オンライン開催ということもあってなかなか参加者同士で個別に感想を共有しにくい面もありますが、参加した分科会について改めて複数人で話し合い、参加できなかった分科会についても議論に接することで、全国大会への参加経験をより深める機会となったように思います。