6月例会報告

6/8(土)の支部例会は、文化財修復を手がけている「工房レストア」さんの工房にお邪魔して、古文書修復のワークショップをしました。
工房レストア:http://kobo-restore.com/
レストアさんは大阪市大正区にある会社で,紙資料全般の修復や,レプリカ制作を行っておられます。修復は和紙の資料に限らず,洋紙も行っておられるそうです。
(最近は,戦前・戦後の酸性紙資料の修復などが大変多いそう)
工房内には,様々な種類の紙や表装の布,糊などがたくさん。糊は,でんぷんを1年ほど発酵させて作るのだそうです。

早速,修復体験です。
まず虫損のある古文書のサンプルを使って、欠損したところにのみ紙を充填する「漉きはめ」と、全体に1枚貼りつける「裏打ち」の両方を体験しました。

漉きはめは、水と楮と粘着剤を混ぜた紙原料の液を流し込むのですが、この紙原料の具合がポイントだとのこと。


(工房の方のお手本を見ていると,いとも簡単に思えます)

紙漉きと違って、漉きはめの機械を使って紙原料を流し込む工程は、意外なことにそれほど難しくは感じませんでした。

その後、裏打ちに挑戦。
漉きはめに比べ工程は少ないのですが、裏打ちの和紙を張り付ける際にへたをするとシワが寄ってしまいそうで、皆こわごわ・・・。

休憩をはさんで、四つ目綴じもしてみました。

糸を通しながら、その都度緩みがないように引っ張っておくこと、糸を割ってしまわないように気を付けることなど注意点を聞きながら、これは割と皆スムーズに完成。

(分かりやすい模型)

その間に乾かしてもらった漉きはめと裏打ちの作品(?)をそれぞれ配っていただきました。

漉きはめは填めた箇所が透かして見ないとわからないほどで、皆、予想以上の出来に大満足。

裏打ちもかなり綺麗にできましたが、後で、扱いやすいように少し厚めの紙を用意してくれていたことを聞いて、やはりそんなに易しいものではないのだと納得しました。

今回両方を体験させていただいたことで、漉きはめと裏打ちとの違いをよりよく理解することができたと思います。

また、できるだけコストを抑え、顧客の費用負担を少なくすることによって、資料の修復・保存対策に対する障壁を取り除こうとしている姿を見ることで、「お金がないから無理」と諦めず、もっと図書館が資料保存に関心を持つ必要があると実感しました。

あらためて休業日にわざわざワークショップを開いてくださった工房レストアの皆様に感謝の意を表したいと思います。
ありがとうございました!!

レストアさんのブログにも記事を書いてくださっています。
http://koborestore.blog.fc2.com/blog-entry-101.html